AIタイプを知って、あなたに合った思考パートナーを選ぼう
最新・最高性能を追いかけるより、AIの個性や特性を理解して、自分の目的に合った思考パートナーを選ぶことが、より良いAI活用への近道です
AI選びに迷っていませんか?
つい先日も、新しいAIモデルがリリースされたようです。毎月のように別の会社が機能のアップデートを発表するぐらい、AI界隈は盛り上がっています。そして「このテストではGPT-4.1が最高スコア」「いや、実際に使ってみるとClaudeの方が優秀」...そんなニュース、記事が毎日のように流れてきます。
私も正直、どのAIを使うべきか迷うことがあります。新しいモデルが出るたびに、試してみるものの、結局どれを主に使うべきかを性能比較表からは、決められずにいます。
あなたも、似たような経験をしていませんか?
でも最近は、私たちのような一般ユーザーは、性能の数値的な差をそこまで気にする必要がないのではないかと思っています。どのAIも、十分に賢いです。特に有料版を使うと、驚くほど賢いです。
だからこそ、大切なのは、「このAIはどんなタイプなのか?」という視点で選ぶことかもしれません。
AIには「個性」があります
現在のAIには、それぞれ独自の特性や「個性」があります。この個性は複数の要素から形成されています。
まず、各社のAIは基本的なアーキテクチャ(設計構造)が異なります。OpenAIのGPTモデルや推論モデル(oシリーズ)、AnthropicのClaude、GoogleのGeminiは、それぞれ独自の設計思想に基づいて構築されています。これらの違いは、AIが情報をどう処理し、どう回答を組み立てるかに影響します。
また、各社はトレーニングデータも独自に収集・選別しています。公開されているウェブデータを使う点では共通していても、どのデータを重視し、どう前処理するかで大きな差が生まれます。これにより、各AIの知識ベースや得意分野が変わってきます。
こうした基盤の違いに加えて、最も一般ユーザーに影響するのが「AIの振る舞い方」です。これが私たちが日常的に感じる「AIの個性」につながります。
AIのキャラクター、個性とは?
最も分かりやすい例は、「回答のスタイル」です。
私の経験では、ChatGPT(特にGPT-4)は質問に対して詳細で網羅的な回答をする傾向があります。例えば「猫について教えて」と聞くと、猫の生態、歴史、種類、飼い方まで幅広く説明してくれることがあります。
一方、Claudeは比較的簡潔な返答をする傾向が見られます(ただし、これはバージョンや設定によって変わります)。より焦点を絞った回答が欲しい場合に便利です。
Geminiについては、説明の途中で「これを試してみてはどうですか?」と提案を促すスタイルが特徴的です。自分で考えるきっかけを与えてくれる印象があります。
問題解決のアプローチにも違いがあります。ある問題に対して、一つの最適解を提示するAIもあれば、複数の選択肢と各選択肢のメリット・デメリットを示すAIもあります。前者は決断を助けてくれるアドバイザー、後者は選択肢を広げてくれるブレインストーミングのパートナーといった感じでしょうか。
ただし、これらの特性は絶えず変化していることに注意が必要です。各社は定期的にモデルをアップデートしており、今日の特性が明日も同じとは限りません。
キャラクター、個性はどうやって決まるのか?
AIの個性を形作る要素はいくつかあります。
- システムプロンプト:AIに対する基本的な指示書です。「あなたは役立つアシスタントです」「回答は簡潔にしてください」などの基本的な振る舞いを定義します。 
- RLHF(人間のフィードバックによる強化学習):AIの回答に対する人間の評価を基に、どのような回答が好ましいか学習させる方法です。 
- 安全性調整:有害な内容を避け、バランスの取れた回答をするための調整です。 
- 特殊な学習手法:各社独自の学習方法も、AIの特性に影響します。 
これらの要素のほとんどは非公開ですが、一部の企業は透明性のために情報を公開しています。例えばAnthropicはClaudeの行動原則の概要を公開しており、OpenAIもGPT-4の一部システムプロンプトを研究者向けに共有しています。
しかし私たちユーザーからは、これらの内部設計は見えません。だからこそ、日々の利用の中で観察することが大切です。
「このAIは不確かなことでも自信を持って答える傾向がある」「このAIは情報が不足していると率直に認める」など、実際の使用感から特性を把握していくと良いでしょう。
キャラクターは変えられます
AIのキャラクターは、ある程度カスタマイズ可能です。開発者向けのAPI版を使う場合は、かなり深いレベルで調整できます。
一般ユーザーが使うWeb版でも、会話の冒頭で「回答は専門用語を避けて簡潔にしてください」「具体例を3つ挙げて説明してください」などと指示すれば、その会話内でキャラクターを調整できます。
最近は「カスタムインストラクション」(ChatGPT)や「スタイルやプロジェクト機能の指示文」(Claude)といった、自分の好みの設定を保存できる機能も登場しています。これらを活用すれば、毎回細かい指示を出す手間が省けます。
とはいえ、カスタマイズには限界があります。AIの基盤部分を変えることはできないため、元々のキャラクターとかけ離れた振る舞いを期待するよりは、自分の目的に合ったAIを選ぶ方が効率的です。
自分に合ったAIを見つけるには
各AIを実際に使って比較してみることが一番です。同じ質問を複数のAIにしてみて、どの回答が自分の好みや目的に合っているか確認してみましょう。
例えば:
- 創造的な文章を書きたい場合 
- 複雑な問題を整理したい場合 
- 短時間で要点だけ知りたい場合 
- 安全性や正確性を重視する場合 
- 特定のトピックについて深く理解したい場合 
それぞれの状況で、どのAIが最も使いやすく感じるでしょうか?
また、AIの特徴は用途によって長所にも短所にもなります。詳細な説明が欲しい時と簡潔な答えが欲しい時では、適したAIが変わるかもしれません。状況に応じて使い分けるのも良い方法です。
透明性の重要性
興味深いことに、AIの設計思想や行動原則を公開している企業もあります。例えばAnthropicはClaudeの行動原則の概要を公開しており、安全性や人間尊重の姿勢が見て取れます。
こうした透明性も、AIを選ぶ際の重要な判断材料になるでしょう。特に子どもが使うAIを選ぶ場合や、ビジネスでの重要な意思決定に使う場合は、AIの行動原則を知ることが大切です。
結局のところ、AIの選び方は洋服や靴を選ぶのと似ています。最新モデルや最高スペックだけでなく、自分との相性や使い心地が大切です。
AIを見極める目を養い、自分にぴったりの思考パートナーを見つけてください。そうすれば、AI活用の質が大きく向上するはずです。
まずは、「自分が主に使う予定の用途」で、比較すると良いです。その際は、回答の内容だけでなく「どういう傾向があるのか?」というキャラ、スタイルにも注意を向けてください。きっとぴったりのパートナーを選べるようになるはずです。


